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親知らず(第三大臼歯)と歯根嚢胞 | もり歯科(兵庫県姫路市)

親知らず

抜歯の理由になり得る歯根嚢胞とは?|姫路市の親知らず治療

嚢胞とは

体内に発生する袋状の異常な出来物のことを「嚢胞」と呼びます。
嚢胞の中には液状や繊維状の内容物が含まれていることが多いです。
身体のほぼどこにでも発生する可能性があり、舌や歯茎、アゴの骨の内部、唇等軟組織などにできることも当然あります。

「口内に出来物が生じるなど、イメージしにくい」と感じるかもしれませんが、口内の疾患のうち、25~35パーセントほどは嚢胞が占めていると見られています。
そのため、歯科や口腔外科の分野においては珍しい症状ではありません。

歯根嚢胞とは

歯根、つまり「歯の根」に発生する嚢胞のことを「歯根嚢胞」と言います。
もちろん親知らずに関しても、歯根嚢胞ができる場合があります。
歯根嚢胞は比率としてはかなり発生しやすいものであり、「アゴの内部にできる嚢胞」のうち、半数以上が歯根嚢胞であると見られています。

歯根嚢胞による痛み・大きさ

詳しくは後述しますが、基本的に「神経が正常である歯」には歯根嚢胞は発生しません。
歯根嚢胞は原則として「神経が死んでいる歯」にできます。
親知らず(第三大臼歯)に関してもそれは同様であり、親知らずがどれほど歪な生え方をしている場合でも、神経が正常であるならば歯根嚢胞はできません。

この歯根嚢胞ですが、発生しても痛みを感じないケースが多く、レントゲン検査を行って初めて存在が確認できる場合が少なくありません。

歯根嚢胞のサイズは小さな豆くらいであることが多いですが、最大でニワトリのタマゴ程度にまで膨らむ可能性があります。
ただ、「最初から大きい」という事はほとんどなく、「小さい嚢胞が徐々に成長していってしまう」という表現が近いです。
歯根嚢胞が大きくなってしまうと、付近の骨が薄くなる場合が多いため、触れると骨がペコペコするケースがあります。

虫歯が巡り巡って歯根嚢胞を引き起こします

虫歯菌が歯を溶解させつつ歯の中へと進んでいくと、いずれ虫歯菌は歯の神経にまでたどり着きます。
そうなると歯の神経に炎症が発生し、しばらく経過すると、いわゆる「神経が死んだ状態」になります(失活)。
失活した歯の神経は、徐々に腐敗してドロドロになります。
その「ドロドロの物質」は、虫歯菌の格好の住処となります。
そして、虫歯菌がさらに進行して「歯根の先」にたどり着くと、その付近の骨に膿を蓄積させて「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」という疾患を発生させます。
根尖性歯周炎をすぐに治すことができずに慢性的になってしまうと、いずれ歯根嚢胞に変化する可能性が高いです。

複雑な流れであるように思えるかもしれませんが、簡単に言えば「歯根嚢胞の大元の原因は虫歯」なのです。
親知らずやその付近の歯には虫歯ができやすいですから、特に気を付けなくてはなりません。

また、歯根嚢胞は「神経を除去した歯」にも発生します。
歯の神経を除去すると、歯の中に空洞ができることになります。
この空洞を埋めておかないと、虫歯菌が入り込みやすくなってしまいます。
「根管充填材」という薬品で空洞を埋めることになるのですが、「細菌」は非常に小さいため、どれほどしっかりとこの薬品で埋めても、細菌の侵入を完全に抑え込むことはできません。
そして細菌が歯根の先に到達すると、先ほどと同じような流れで最終的に歯根嚢胞が発生する恐れがあります。

親知らずに歯根嚢胞が発生したときの治療方法|姫路市

では、親知らず(第三大臼歯)に歯根嚢胞ができたときはどのように対応すべきなのでしょうか。

前提:親知らずの抜歯を検討しましょう

繰り返しになりますが、「歯根嚢胞の大元の原因は『虫歯』である」と言えます。
そして親知らずの場合、虫歯や歯周炎を一回治療しても、再発してしまうケースが少なくありません。

ですから、親知らずに歯根嚢胞ができたときは、抜歯を検討することを強く推奨します。
特に「親知らずが『斜め』や『横向き』など変な生え方をしていて、前から気になっていた」という場合は尚更です。

歯根嚢胞の摘出をします

薬を飲むなどしても、歯根嚢胞が改善することはありません。
そのため、原則として「歯根嚢胞自体を全摘出する」ことが多いです。

親知らずの歯根嚢胞を防止・早期発見するための方法とは|姫路市

では、親知らず(第三大臼歯)の歯根嚢胞を防止したり、初期段階で発見したりするためにはどうすればいいのでしょうか。

毎日丁寧にブラッシング(歯磨き)をしましょう

再三お伝えしています通り、歯根嚢胞の大元の引き金は虫歯です。
ですから、親知らずの歯磨きをきちんと行って、虫歯が発生しないようにしましょう。

・口を小さく開けて斜めから歯ブラシを入れて、軽く動かすように親知らずを磨く
・親知らずの1つ前の歯(第二大臼歯)の後ろ側、親知らずと接触する部分も忘れずに
・タフトブラシを活用する
・歯間ブラシを活用する

などのことを意識しつつ、親知らずを適切にブラッシングしてください。
そうでないと最悪の場合、「毎日歯磨き自体は行っているが、親知らずにはほぼ歯ブラシの毛先が当たっていない」という事になってもおかしくありません。

必要であれば一度姫路市の信頼性の高い歯医者に行って、「歯磨きの仕方」に関する指導を受けましょう。

歯の定期検診も必要です

「特に何もないはずなので、数年間歯医者に行っていない」という方も少なくないはずです。
ですが、「自覚症状がないだけで恐ろしい疾患が進行し続けている」という可能性もあるので、最低でも1年に1回は歯医者を訪れて検診を受けることを心掛けてください。

親知らず(第三大臼歯)がある方の場合は、「自力では行いにくい『親知らず付近のクリーニング』」もすべきですから、3カ月に1回程度は歯科医院を訪れたいところです。

また、検診の際にレントゲン検査を受けることで、今回話題に挙げている「歯根嚢胞」を早期発見することも可能です。
もちろん、歯根嚢胞以外の症状が見つかることもあるかもしれません。

歯の定期検診はそれほど高額なものではありません。
定期検診によって歯の病気を防いだほうが、トータルで考えれば「一生で歯にかけるお金」は安くなる可能性が高いです。

「歯根嚢胞」以外で親知らずを抜歯する理由になり得る症状は?|親知らず

虫歯

親知らず(第三大臼歯)に虫歯ができた場合は、やはり抜歯を考えるべきです。
この段階で問題を解決することができれば、歯根嚢胞で苦しまなくて済む可能性が高いです。

ちなみに「親知らずが痛い」と感じるケースのほとんどは、痛みの正体は「親知らず(かその付近)の虫歯・歯周病」です。
「親知らずが神経を押していて痛い」という可能性は低いです(ゼロではありませんが)。

親知らずが横・斜めなどに生えている

症状がなくても、親知らずが横・斜めなどに生えている場合は抜歯したほうが良い場合もあります。
「変な生え方をしているせいで磨きにくい」というのであれば尚更です。
今は何とかなっていても、いずれ虫歯などが発生してしまうかもしれないからです。

歯列矯正を行う場合

歯列矯正を行うにあたって、親知らずを抜歯する場合があります。
なぜなら、抜歯すると歯並びが良くなる・抜歯しないと歯並びが悪くなる可能性があると言われているからです。
ただ、これに関しては歯医者・医師の方針によるところが大きいです。